A児は、B小学校の通常の学級に在籍するADHD、読み書き障害、自閉スペクトラム症の傾向がある小学6年生の児童ある。個別の教育支援計画をもとに児童、保護者と教員が合意形成を図りながら合理的配慮を提供し、集団への所属感や学習意欲の向上を図った事例である。 A児は、聴覚過敏や適切な対人関係形成の困難さ、学習面でのつまずきに対する周囲の無理解から、自尊感情は低く「どうせできないから」「どうせわからんから」と集団に参加したり学習したりすることを拒否していた。小学6年生になり学級と学級担任が替わり、さらに不安定な状況となっていたため、特別支援教育コーディネーターが関わって別室(相談室)での対応や特別支援教育支援員の支援を受ける中で、学級での学習や行事に参加できるようになってきた。このような成功体験を重ねることで、自尊感情や学習意欲が少しずつ高まってきた。さらに、相談室で個別に担任が関わることで担任との関係ができ、学級集団での活動や学習への参加ができるようになってきた様子から、特別支援教育コーディネーターの関わりを減らしていった。しかしながら、集団参加に関しては引き続き支援が必要なため、特別支援教育支援員が様子を見守っていった。 |