【78】自閉的傾向のある幼児に対する外部専門家と連携した合理的配慮の事例
本事例は、自閉的傾向(診断は無し)のあるA児(5歳児、3年保育)の事例である。3歳児クラスでは入園当初より一人遊びを好み、自分の好きなことを黙々と取り組み、友達に対して自分から関わる様子は見られず、クラスに馴染めないようであった。4歳児クラスになると、他の幼児に対して自分から関わろうとする姿は見られなかったが、保育者がA児の好きな絵本や恐竜の話をすると、時々笑顔で答える姿も見られた。しかしながら、周りを気にせず自分のペースで好きなことに取り組む一方で、何事においても周りから遅れがちであった。そこで支援の重点を「姿勢の保持や意欲的に身体を動かして遊べるように運動機能を高めていく」「他の幼児と一緒に関わることの楽しさを知り、自ら関わろうとする」として具体的な合理的配慮を行った。姿勢を保持することが困難であった為、這い這い競争やトランポリン、雑巾掛けやサーキット遊び等を自由遊びの中で取り入れるようにした。また、トランプやカルタ、すごろく等ルールのある遊びを通して友達と自然と関わるように配慮した。
【77】通常の学級に在籍する自閉症のある小学2年の児童に対して通級による指導を活用して社会性に関する指導を行った事例
A児は、B小学校の通常の学級に在籍する、自閉症スペクトラムの診断がある小学2年生である。本事例では、A児が、C小学校の通級による指導を活用しながら、社会性等について学習した事例である。A児は幼稚園在籍時から、対人関係やコミュニケーションに困難さがあった。小学校に入学後、通常の学級で、学習面や学校生活面での困難さが現れるようになった。そこで、学級において、見通しを立てる、視覚的な情報を意図的に取り入れるといった指導や支援と、個別の配慮や支援を継続的に行っている。通級による指導では、社会性、対人関係、コミュニケーションに関する能力の育成として、週一回ソーシャルスキル指導を中心に受けている。通級による指導の担当教員と担任、保護者は、毎週ファイルのやり取りで情報を共有して、通常の学級での支援に生かしている。さらに、それぞれの教員が相互の授業を参観したり、情報交換をしたりすることでA児に対する指導、支援に生かしている。
【76】軽度の知的障害と自閉症スペクトラムを併せ有する小学2年の児童の交流及び共同学習における自己表現や不器用さに対する配慮の事例
A児は軽度の知的障害と自閉症スペクトラムを併せ有する、B小学校の知的障害特別支援学級に在籍する2年生である。本事例は、知的障害特別支援学級に在籍している児童の交流及び共同学習に関するものである。A児は、国語、算数、生活単元学習を特別支援学級で学習し、その他は通常の学級で学習している。A児は、自己表現が苦手で、他の児童の前での発表において「できない」と言って固まってしまっていた。そこで、A児の理解力に合わせて、内容の変更や調整をしながらスモールステップで指導すること、繰り返し練習させることで、「自分はできる」という自信を持たせた上で挑戦させ、成功体験が積み重なるよう取り組んでいる。また、A児には手先の不器用さや、視覚的な形の捉えにくさがあったため、エレクトーンの指導にあたっては、A児が視覚的に捉え易いように作成した楽譜を使用している。そのほかに、A児の自分の思いを文章化することの苦手さには、A児が焦点化して取り組めるような具体的な指示、発問の変更等工夫している。
【75】自閉症スペクトラムのある中学2年の生徒に対して、感情のコントロール等の合理的配慮を行った事例
【74】ADHDの診断がある中学3年の生徒に対して、見通しを持たせたり、自分の行動を考えさせたりする指導を行い、学習面・生活面において改善がみられた事例
【73】通常の学級に在籍するADHD、読み書き障害、自閉スペクトラム症の傾向がある小学6年の児童に対して、集団への所属感や学習意欲の向上を図った事例
自閉スペクトラム症、読み書き障害、ADHD、見通し、自尊感情、学習意欲、集団参加
【72】自閉症の診断を受けている高校3年生の生徒に対する、就労支援に関する合理的配慮の提供事例
通常の学級に在籍している広汎性発達障害のある小学5年のA児について、教員と保護者が合意形成をはかりながら、合理的配慮を提供した事例である。A児の学習成績は良く、自分の思いも論理的に述べることができる。しかし、自分の思いをコントロールすることが苦手で話し出すと止まらなくなる。また、思いが通じないと暴言をはいたり暴力をふるったりすることがある。気分が高まったときのことを覚えていないことがたびたびある等生活態度に課題があった。保護者との関係作りとして、連絡帳や電話、教育相談等でA児のがんばりを伝える取組を行った。またA児との関係作りとして、安心して学校での生活を送ることができるよう、スキンシップによる安心感、エネルギーの発散、満足感を得ることができるようにした。A児が「当たり前」と思っていることと周囲が思っているズレを小さくしていくことをA児と確認した。どこが周囲とのズレなのかを理論的に説明するようにし、学級内で起きたトラブルも含め他の問題も全体の問題として捉え学級全体で話し合い、解決策もできるだけ自分たちで決めるようにした。この取組を継続してつみあげていくことにより、「なぜ」「どこを」「どのように」改善していけば良いかがA児にも分かるようになりつつある。
【70】授業に参加することができない自閉症のある児童が、保護者との合意形成を丁寧に進め、特別支援学級に在籍を変更し、学習活動に部分的に参加するようになった事例
A児は、B小学校の特別支援学級に在籍する、自閉症の小学3年生である。小学2年生までは、通常の学級に在籍していた。入学当初から授業には参加せず、教室にもほとんど入らなくなり、別室で個別の対応を行った。できる限り通常の学級での授業や生活に参加できるようにしてきたが、ほとんど参加はできなかった。こうした状況から、当面、特別支援学級に在籍を変え、小集団で、A児の発達や興味・関心等に配慮できる場所で、授業や生活を送ることが有効ではないかと保護者に提案した。その上で、A児の保護者との合意形成が課題となった。通常の学級在籍時は、学級担任だけでなく、特別支援コーディネーター、個別の対応教員も参加して、懇談を行い、A児の日常の様子を伝えた。母親だけでなく、父親にも参加してもらった。日常的には、学級担任や個別の対応教員が保護者の悩みや願いを聞き取るよう、細かな配慮を行った。また、通院している病院の医師や作業療法士等と話合い、できるだけ同じ方向で、保護者に対応した。大学の特別支援教育研究者やスクールカウンセラーとの相談も実施した。保護者との合意形成に至り、特別支援学級に在籍をしているが、現在も具体的な合理的配慮について、保護者との合意形成を進めている。
【69】自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する中学1年のA生徒に関する合理的配慮の事例